2016年1月 7日 (木)

1/7  未完の大作達

次は何を読もうかなと、図書館をブラついてたら見た事のあるタイトルが目に入った。

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 『病葉流れて』 白川道

これの漫画版が数年前に近代麻雀に載っていて見た事がある。あまり面白かったというか、そもそも大した印象が残っていないのだが、ヒロイン?が意味ありげにシャボン玉を飛ばしているシーンがやけに印象に残っている。

確か「始まりの儀式」とか何とか言ってて昭和だなぁ等と思っていたものだ。

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 (こいつ、こんなヒロイン面してるくせに出番ほとんどねえんだぜww)

作者の白川道という人に関しては何も知らない。ただ、時折麻雀大会などに大御所風に登場していて何やねんこの爺さんと思っていた。阿佐田哲也レベルの扱いに些か戸惑っていたぐらいである。

 (どんなもんかね?)

分厚い本をパラパラっと捲ったら牌画が見えたので麻雀放浪記的なのを期待して読み進める事にした…が、何コレ?面白いやん(゚∀゚)!!麻雀好きという事もあってか、ぐいぐい引き込まれる。

 (っていうかこの本、麻雀放浪記顔負けの名作やんけ!!!)

これまで知らずに損をしていた。是非、麻雀放浪記やドサ健ばくち地獄みたいのが好きな人は読んでみる事をおすすめしたい一作です。

内容はかなり麻雀放浪記に似てるような似てないような。ただ、見方を変えると村上春樹の小説のようでもある(キザなセリフ回しやとにかく主人公が無条件で女にモテる辺りがw)。しかし反面で人生哲学的な面も多々にあって、なるほどハードボイルド作家と言われるだけある。少なくとも麻雀大会での扱いに関しては間違ってはいなかったのだと僕は感じた。老害扱いしてごめんなさい。

あれよあれよと次巻に手が伸びていくのだが…

・病葉流れて
・朽ちた花びら  ~病葉流れて2
・崩れた日なにおもう  ~病葉流れて3

・身を捨ててこそ   ~新・病葉流れて 
・浮かぶ瀬もあれ  ~新・病葉流れて2
・漂えど沈まず  ~新・病葉流れて3
・そして奔流へ  ~新・病葉流れて4

このシリーズ、結構分厚い本が七冊の超大作である。とは言えギャンブル小説でこれはなかなか読み応えがあって嬉しい悲鳴だが(゚∀゚)

特に、三巻で一度物語が終わったと思ったら、次巻から「新・病葉流れて」となっているにも関わらず、外伝的な話でなくそのままストーリーが継続されてると分かったときは凄く嬉しかった。三巻のラストがラストなだけに設定を変えての再スタートを普通に覚悟していただけに!

これは物語に感情移入できている証拠だろう。名作の証である。

こうして二ヶ月ほど、取り寄せなどしつつスラスラと読み進めていったのだが、最終七巻目も半分を過ぎた頃にある不安が胸に過ぎった。

 (これ…残りページでどうやって終わるんだろ??)

どう見ても尺が足りないというか…このままだと適当にフェードアウトしてしまいかねない。現状出ているシリーズは全七巻のため、ここで終わるはずなのだが…それともなにか、俺達の戦いはこれからだENDも十分ありえる。

 (やはり。。。)

不安は的中というか悪い方に当たってしまい、物語は何も解決しないまま終わってしまった…

が!!!ちょっと待てよと調べてみると、なんと最終巻の刊行が2014年となっているではないか。

 (あっ、わりかし最近の本なんだね)

というわけで、次巻を楽しみに待とうと思った矢先に…作者である白川さんが昨年4月に急逝していた事を知ってしまうのであった。

 (この続きが永遠に見れないと言うのはあまりにも辛いぜ…)

作者が亡くなってしまって続きが読めない作品と言えば、最近で言えば伊藤計劃の「虐殺器官」に続く「ハーモニー」を読んだばかりなのだけど、あれは生前親交深かった盟友とも言える人が親族の了承を得て、ある程度骨組みが出来ていたストーリーを引き継ぎ三部作の締めとも言える作品を完成させている。

しかし病葉流れてはある意味で白川道の人生を綴った私小説でもあるらしいし…そういう期待は出来ないだろうな。モヤモヤする反面、キッチリした終わりを期待すべき類の作品ではなかった事がせめてもの救いだろうか。

ある意味では、「らしい」終わり方のような気もする…

いつか科学が進歩して、クローンや脳細胞移植等、本人の記憶・人格をそのまま次世代へ移せる技術が発達したらこういう問題は解決するのかな。魂の所在の話のようになっちまうが、よしんばそれで続きが書かれたとして、そのときファンはどう思うのだろう。

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